女性にとって、産婦人科受診は大事な機会。でも、とっても気の重い、嫌なことかもしれません。
産婦人科医を40年やってきた私が、患者さんたちとなるべく、カジュアルに気まずくなく、接するためのポイントとして気をつけてきたことを述べます。一方で、女性たちにとって役に立つアドバイスを。
まず、産婦人科医は男性であれ女性であれ、あなたが女性として恥ずかしいという気持ちを持つ必要のない対象です。たとえば、あなたのお宅の犬や猫の前で裸になっても恥ずかしくないのと同じです。私たち産婦人科医は、通常の日常生活での男女の感覚で診察をしているわけではありません。ご本人にとって、どんなに恥ずかしい、つらい、悲しい状況でも、淡々と受け止めます。正しい診断と治療のための「道具」だと思っていただいて結構です。それが私たちのルーティンです。遠慮なく何でも質問してください。私たちは、あなたの友達でも、両親でも、兄弟でもありません。医学知識と技術、配慮を持った「ロボット」と思ってください。もちろん、こちらも感情がないわけではありません。診察時には冷静な医学的判断をする技術とセンサーを持った高度な診療機器です。一方で、心情としては、患者さんを取り巻く様々な環境や状況、背景を配慮して、可能な限り尊重して対応します。時に、デリカシーのない、バカヤローな医師もいるかもしれません。そういう時は、怒って不満を表し、二度とそこには受診しないことがおすすめです。ただし、ただ一度だけの受診で主治医に対する信頼感が持てるわけではありません。一度、二度と会って、お話しするうちに、わかりあって信頼感も持てるようになるはずです。友達でも会社の同僚でも、好き嫌いや相性はあるはずです。医師と患者間にも相性はあります。どんなに一所懸命に患者さんと接していても、好感を持っていただけるのは最高でも70%でしょう。「この主治医はダメだな」と思ったら、替えてしまうのもひとつの手です。結局、お互いに人間同士のお付き合いです。馴染みのショップやヘアサロンのスタッフ、ネイリスト、カフェの女性、寿司屋の親方と打ち解けてお話ができるようになったら、楽しくなりますよね。相性が悪ければ、どんなに有名店でも次はありません。お会いするたびに、「アイツ結構いい奴だな」とか、「何か差し入れを持っていってやろうか」と思うような相性の合う主治医がいたら病院通いもそれほど辛くなくなるでしょう(でも、病院にはイヤイヤいらしているのは間違いないことは承知しています)。私たちは、当直明けで、ランチの時間がなくても、トイレに行くのも我慢して、診療をしているのが普通です。病気が治ったら、もう来ていただく必要はありません。病院はレストランのように「また、おいでください」といえない辛い職場です。
*写真はローマの老舗カフェの女性
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