HPVワクチンを接種して、HPV検査による検診を受けていれば、もう子宮頸がんにかかることはありません

日本でもやっと、WHOが推奨する、海外で標準的に行われているHPVワクチンとHPV検査による検診が受けられるようになりました。この二つがきちんと公衆衛生の施策として国民の皆様の誰にでも提供されるようになったことは大きな前進です。あとは、国民の皆様がきちんと、これらを受けることだけが残っています。

図は、子宮頸がんの将来を現在の医学的レベルで予測したシュミレーションです。まず、図の左側を見てください。

1.現在、子宮頸がん患者が1,000人いるとします。

2.子宮頸がん検診には細胞診とHPV検査の二つの方法がありますが、100%の人が検診を受けると仮定します。

細胞診は感度が70%、つまり、がんの人が検診を受けると70%ががんと診断されます。そして、残るのは30%、つまり、300人の人ががんを持ったまま残ってしまいます。

3.HPV検査の感度は95%なので、1000人のうち950人ががんと診断され、50人が人ががんを持ったまま残ってしまいます。しかし、検診を受けるだけで、これだけの人ががんと診断され治療を受けるので救われます。

4.ワクチンの有効性は90%です。日本でも世界でもリアルワールドでHPVワクチン接種により90%の人ががんを予防できることが証明されています。

5.図の右側に目を向けて下さい。先ほど、患者が1000人いるとしましたが、この人たちががんになる前にHPVワクチンを受けていたらどうなるでしょうか?1000人の患者だったものが、100人に減少します。これがワクチンの素晴らしい効果です。

6.さて、この100人の人に子宮頸がん検診を受けていただきましょう。細胞診の感度は70%、HPV検査の感度は95%です。細胞診を受けた100人のうちからは、70%の人ががんと診断され、30人ががん患者のまま残ります。一方、HPV検査を受けたほうからは、95%ががんと診断され、5人ががんのまま残ります。

どうでしょう。1000人いた子宮頸がん患者は、100%のHPVワクチン接種率とHPV検診受診率が確保されれば、5人だけに減ってしまうのです。

これら、HPVワクチンとHPV検診の紛れもない真の実力です。これが科学の力です。この科学の力を知らずに、使わない選択をしている人がいるなんて全く信じられません。あなたはどうですか?あなたの周りはどうですか?

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この記事を書いた人

代表紹介 今野良 
医師 (自治医科大学卒業)
医学博士 (東北大学)
Prof. Ryo Konno, MD, PhD
臨床医・研究者としてのキャリアと実績

所属・学会・研究員
自治医科大学総合医学第2講座(産婦人科)教授
日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本医学旅行学会
Asia-Oceania Research Organization in Genital Infection and Neoplasia (AOGIN アジアオセアニア生殖器感染および腫瘍研究機構、日本代表理事、2017年東京大会会長)
Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容・アンチエイジング医学会)
Wold Endometriosis Society (世界子宮内膜症学会)
NPO子宮頸がんを考える市民の会(理事長)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究班員
独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター(UNIBIOHN)客員研究員
岩手県奥州市地域医療モデル・メディカルアドバイザー

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