✨プロが解決!美と健康の悩み✨ No8 海外製のまつげ美容液は目に悪い成分が含まれている?

えりりん:海外製のまつげ美容液は目に悪い?

ノーメイクでも美しさを保つため、目元の美容に力をいれる人が増えてきています。

人によっては、エステに通わずに自分でできるケアとして、『まつげ美容液』を利用している人も多いのではないでしょうか。

そのなかで、「海外製のまつげ美容液は目に悪い成分が含まれている」という情報を目にしたことはありませんか?

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えりりん:以前、SNSで「海外製のまつげ美容液には、目に対して悪影響を及ぼす可能性のある成分が含まれている」と見かけたことがあります。

日本製との違いや、どんな成分が含まれているのかを教えてください。

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美容:日本製のまつげ美容液と海外製のまつげ美容液との大きな違いは、含まれている成分です。

最近、海外製のまつげ美容液には、もともと緑内障の治療薬として使われていた成分をまつげの美容液として利用している製品が増えてきています。

【ルミガン(一般名ビマトプロスト)】は、緑内障治療や高眼圧症の治療薬(直接点眼する薬液)として利用されていましたが、副作用としてまつげが生えてくるということがあったために、アメリカでは、数年前からその成分をまつげの育毛剤として承認されています。他の国では、美容液にこの成分を入れているところもあるようです。

しかし、緑内障治療を目的としてつくられた成分は、本来まつげを伸ばすためにつくられたわけではありません。そのため、効果もありますが、副作用(角膜びらんや虹彩や眼瞼の色素沈着)が起きることがあります。つまり、安全性の点では日本国内の製品よりも海外製のまつげ美容液(何が入っているか不明)のほうが劣ると考えていいでしょう。安全性を重視するのであれば、日本国内で認知されているブランド・メーカーのものがおすすめです。

日本製のまつげ美容液は、保湿成分や植物由来の美容成分がメインで含まれているモノが多く、目に入っても安全といえます。化粧品も海外製のモノより日本製のモノのほうが制限が厳しい傾向があります。海外製の化粧品では、薬に含まれている成分を製品に入れることで効果をだそうとすることがあります。そのため、日本製の製品のほうが効果は弱くても、保湿や栄養の目的のために作られた成分を使用しているため、安全なのです。

どのまつげ美容液を使うかは自己責任になってしまうため、リスクを減らすためにも適量・使用頻度を守って使用しましょう。美容液であれば多少大目に使っても問題はありませんが、治療薬の場合は効果が無いばかりか、副作用が出てしまうことがあります。

また、使用期限が3ヶ月~半年程度のモノもありますが、〈1~3ヶ月程度が限度〉といえます。

理由としては、目元に直接塗る製品が多いため、清潔に保つのが難しいからです。

清潔な状態で使用しているとはいえ、見えないメイク汚れが残っていたり、細菌が付着していたりする可能性がありますし、そのブラシをボトルに戻せば菌はどんどん増殖してしまいます。

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先生:医学の観点から補足すると、どれだけ清潔に使用しているつもりでも、けっして無菌の状態ではありません。

ボトルのなかで菌が増殖してしまった美容液を目元に使用すれば、育毛効果以外の影響が起こる可能性は大いにありますので要注意です。

上記のまつげ育毛剤(一般名)ビマトプロストは、日本では【グラッシュビスタ】という名前で2014年に厚生労働省から唯一「まつげの治療剤として効果がある(睫毛貧毛症治療薬)」と正式に承認されています。そのため、病院で処方してもらえるほかに、オンライン診療などで医師から簡単に処方にしてもらえます。がん化学療法で抗がん剤を使用したのちに起きるまつ毛の脱毛対策にも用いられます。使用法は1日1回就寝前に上眼瞼辺縁部のまつげ基部に塗布するというもので、副作用には。虹彩や眼瞼への色素過剰(メラニンの増加)、色素沈着があります。量を多くしたり、回数を増したりせずに適量をきちんと使用しましょう。また、角膜炎や角膜びらんを起こすこともあり、その際には眼科医の受診をすべきです。

一方、海外製のビマトプロストやその成分が入ったまつげ美容液が美容外科などの自由診療のクリニックで処方されたり、ネット販売されたりしています。

過去の[美容外科の自由診療]というブログでもお話ししましたが、アメリカで承認されている製品を国内で使用し、トラブルが発生した場合は対処してもらえます。しかし、日本国内でトラブルが起きた場合は、自己責任になってしまうのです。たとえクリニックやエステで紹介されたとしても、購入して使用したあなたの責任になってしまいます。

自分の身は自分で守るためにも、取扱説明書、医薬品の添付書などを確認して、納得してから使うことが大切でしょう。

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えりりん:たとえ効果があるとしても、安全性に問題があるのであれば使用をためらってしまいますね。美容液の中の成分に育毛剤が含まれているかどうか、販売担当者やクリニックの医師やナースに確認することも重要ですね。

自分にとって効果と安全性のどちらが重要なのか、きちんと理解して納得したうえで使用することが重要ですね。

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この記事を書いた人

代表紹介 今野良 
医師 (自治医科大学卒業)
医学博士 (東北大学)
Prof. Ryo Konno, MD, PhD
臨床医・研究者としてのキャリアと実績

所属・学会・研究員
自治医科大学総合医学第2講座(産婦人科)教授
日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本医学旅行学会
Asia-Oceania Research Organization in Genital Infection and Neoplasia (AOGIN アジアオセアニア生殖器感染および腫瘍研究機構、日本代表理事、2017年東京大会会長)
Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容・アンチエイジング医学会)
Wold Endometriosis Society (世界子宮内膜症学会)
NPO子宮頸がんを考える市民の会(理事長)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究班員
独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター(UNIBIOHN)客員研究員
岩手県奥州市地域医療モデル・メディカルアドバイザー

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