「脂質」を摂っても太るわけではない 摂りすぎた糖が原因

 忘年会、クリスマスや年越し、新年会など、食事量の管理が難しい年末年始食べ過ぎ、体重増加が気になっている人が多いでしょう。私もその一人ですが、何とか、1㎏増ぐらいで抑えられそうです。

 オックスフォード大学医学部出身で内分泌学減量を専門とするサイラ・ハミード医師の著書から。彼女の減量プログラム開始直後の参加者からは、「脂肪を摂ったら太りませんか?」とよく質問されます。答えは「ノー」です。参加者はそれを聞いて安心するそうです。

 実は、私たちを太らせるのはです。肉や魚、オリーブオイル、乳製品、ナッツ類、種子に含まれる天然の脂質を摂っても、太るわけではありません。メデイアではもちろん、ちょっとした会話でも、脂肪を摂ってはいけない、痩せたいなら脂肪を減らす、といわれるのが日常です。脂肪を食べたらコレステロール値が上がりますから、動脈が詰まりやすくなり、心臓発作や脳卒中になるのではないか、と恐れられているのです。しかし、ここに用語の混乱があります。上記の食べ物の脂肪は、本来は脂質と呼ぶべきものです。

 私たちの身体の脂肪(体脂肪)の正式な医学用語「脂肪組織」(adipose tissue)と言います。これからは体脂肪を「脂肪組織」と呼んで、食べ物の「脂質」とは別のものと考えるようにしてください。

 血液検査で測定されるコレステロールの結果値は、私たちが食べたものではありません。コレステロールをどれだけ摂ったかは、コレステロール値にほぼ関係ありません。それは、私たちの体内(肝臓)で自分が作ったものなのです。食べ物で外から摂ったものではありません。

 実際、米国政府の食生活指針では、以前はコレステロール摂取量を制限することが推奨されていましたが、現在では撤廃されています。日本の栄養基準でも脂質の摂取量は体脂肪と関係ないことが示されています。

 天然の食材に豊富に含まれる健康的な脂質(とくに、魚由来の脂質)を多く摂るようになると、心臓に良い善玉コレステロールであるHDLコレステロールの値が増加し、中性脂肪(トリグリセリド、検査結果ではTGと表わされる)の値は低下します。中性脂肪は血液中の脂肪粒子で、心臓発作や脳卒中のリスクが高いメタボリックシンドロームに関連しています。中性脂肪値が下がると発症リスクは減ります。

 私たちの身体についている脂肪組織や血液中のコレステロール・中性脂肪は、摂取しすぎた糖が肝臓で脂肪に合成されたものです。だから、接種した脂質の量は体脂肪には結びつかないのです。脂質の種類については、別のブログで記しますね。糖のことは、糖尿病やGLP-1関連の記事で書いていますので、ぜひ、ご覧ください。

もちろん、もっと詳しく知りたい方、一般論ではなく自分事として具体的にアドバイスをご希望される方は、「無料相談」や

*参考文献 サイラ・ハミード著 減量の方程式 株式会社ダイヤモンド社

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この記事を書いた人

代表紹介 今野良 
医師 (自治医科大学卒業)
医学博士 (東北大学)
Prof. Ryo Konno, MD, PhD
臨床医・研究者としてのキャリアと実績

所属・学会・研究員
自治医科大学総合医学第2講座(産婦人科)教授
日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本医学旅行学会
Asia-Oceania Research Organization in Genital Infection and Neoplasia (AOGIN アジアオセアニア生殖器感染および腫瘍研究機構、日本代表理事、2017年東京大会会長)
Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容・アンチエイジング医学会)
Wold Endometriosis Society (世界子宮内膜症学会)
NPO子宮頸がんを考える市民の会(理事長)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究班員
独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター(UNIBIOHN)客員研究員

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