「セフォラ・キッズ」と呼ばれる現象

 若い世代、特に10代前半の子供(tweenと呼ばれる8~12才の子供)たちがスキンケアに強い関心を持ち、セフォラ(フランス)などのコスメ専門店高価なスキンケア製品を購入することが増えています。この現象は、アメリカで顕著に見られますが、ヨーロッパや日本でも同様でしょう。とくにインフルエンサーや有名人の影響を受けているようです。化粧品ブランドが若い世代をターゲットにしたマーケティングを行っていることに一因があります。従来は、加齢を気にした中高年世代の関心であったアンチエイジングに興味を持ち、子供ながらアンチエイジング製品にまで手を出しており、永遠の若さを求める傾向があります

 しかし、必ずしもセフォラが悪いわけではありません。セフォラ(Sephora)は、フランス発の化粧品や香水を扱う専門店チェーンです。1970年にパリで設立され、現在はLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの傘下にあります。セフォラは、世界35カ国に2,700店舗以上を展開しており、メイクアップ、スキンケア、ヘアケア、フレグランスなど、幅広い商品を取り扱っていますブランドの垣根を超えた多数の商品を自由に試すことができるのが特徴です。特にコスメ好きの顧客にとっては天国のような場所です。一方で、質の高い品揃えで、セフォラ独自の「CLEAN at SEPHORA」マークなどのフタル酸エステルやパラベンなどを含まない製品を提供していますデジタルマーケティングを取りいれ、ポイントプログラムやコミュニティ、インフルエンサーとの連携を重視していることが顧客を拡大し、影響を受けやすいtweenがセフォラキッズになっているのです。ある母親は「彼らは、ソーシャルメディアで人々がセフォラの製品を使用しているのを見ます。だから、そこから商品を買うのは、正しい使い方さえわからなくても、友達に商品を持っていることを示すことができるというステータスシンボルのようなものです」と言っています。

 皮膚科医は、若い肌に適さない製品を使用することで、発疹アレルギー反応、さらには火傷などのリスクがあると警告しています若い世代が過度に外見にこだわることで、自己評価やメンタルヘルスなど心理的悪影響を及ぼす可能性もあります

若い世代に推奨される製品としては、肌に優しいクレンジング剤、保湿剤、日焼け止めです。若い世代がスキンケアに関心を持ち、将来にわたって正しい美容やスキンケアの知識を持つことは重要なことですが、過剰な関心の持ち方には注意が必要です。

*https://edition.cnn.com/2024/03/12/business/sephora-kid-tweens-skincare-obsession/index.html

https://www.sephora.com/

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/040500195

*写真は以下から What’s up with 10-year-old kids in Sephora? CBC News(Graham Hughes/The Canadian Press) https://www.cbc.ca/news/canada/sephora-kids-trend-controversy-1.7088691

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この記事を書いた人

代表紹介 今野良 
医師 (自治医科大学卒業)
医学博士 (東北大学)
Prof. Ryo Konno, MD, PhD
臨床医・研究者としてのキャリアと実績

所属・学会・研究員
自治医科大学総合医学第2講座(産婦人科)教授
日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本医学旅行学会
Asia-Oceania Research Organization in Genital Infection and Neoplasia (AOGIN アジアオセアニア生殖器感染および腫瘍研究機構、日本代表理事、2017年東京大会会長)
Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容・アンチエイジング医学会)
Wold Endometriosis Society (世界子宮内膜症学会)
NPO子宮頸がんを考える市民の会(理事長)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究班員
独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター(UNIBIOHN)客員研究員

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