ホルモンというと脳―下垂体系ー卵巣、甲状腺、副腎などのホルモンが浮かぶかもしれませんが、GLP-1はインクレチンという「消化管ホルモン」に分類されています。以下は、インクレチンであるGLP-1とGIP(gastric inhibitory polypeptideまたはglucose-dependent insulinotropic polypeptide)について。ホルモンの作用メカニズムには、ホルモンの刺激を受けて機能を発するための受容体(鍵と鍵穴の関係)の仕組みがあり、いろいろな組織に存在しています。
インクレチンとエネルギー代謝
- インクレチン(inrectin)
インクレチンとは消化管由来のインスリン分泌促進因子である. - 上部小腸などに存在するK細胞からはGIP(gastric inhibitory polypeptideまたはglucose-dependent insulinotropic polypeptide)
- 下部小腸などに発現するL細胞からはGLP-1(glucagon-like peptide-1)
- いずれも、食事(特に糖)に伴い分泌され、膵β細胞に発現する受容体(GIP受容体,GLP-1受容体)を刺激してインスリン分泌を促進する(図12-16-1、上記).インクレチンの膵作用によってインスリンが増加すると,インスリンの同化作用により脂肪細胞への中性脂肪蓄積などが生じ,エネルギー代謝は蓄積に傾く.一方,インクレチンの受容体は膵外組織にも発現しており,GLP-1受容体とGIP受容体の組織発現様式は異なる.これらのインクレチンの膵外作用によって,GLP-1とGIPはエネルギー代謝に異なる役割をもっている.
a.GLP-1とエネルギー代謝
GLP-1受容体は中枢神経系や胃に発現している.高濃度で薬理学的にGLP-1で刺激すると,食欲抑制や胃運動抑制が生じる.その結果,摂取エネルギー量の低下につながる.
b.GIPとエネルギー代謝
GIP受容体は脂肪細胞に発現している.GIPシグナルが抑制された状態では,栄養素は脂肪細胞に蓄積しないで,肝や筋などでエネルギーとして消費される.逆に,増強されたGIPシグナルは脂肪細胞への栄養素の蓄積を促進し,消費エネルギー量を低下させる.
ちなみに、図12-16-1にある、DDP-4(Dipeptidyl Peptidase-4 ジペプチジルペプチダーゼ-4)とはインクレチンの分解を行う酵素である。その働きを阻害(反対に作用)するDPP-4阻害薬は2型糖尿病治療薬のひとつで、インクレチン(内因性GLP-1およびGIP、自分の体から出るという意味)の血中における濃度を上昇・維持させ、インスリン分泌を促すことを目的に経口投与で使用されている。だんだん、GLP-1に近づいてきましたね。そうです、インクレチンに作用するもう一つの2型糖尿病薬がGLP-1受容体(に)作動(する)薬ですね。
どうですか?この記事を挙げた理由は「脂肪を食べると、脂肪が蓄積する」ではないが、「糖を食べると、脂肪が蓄積する」ということを知っていただきたいからです。コラーゲンを食べても、コラーゲンが溜まるわけではない」は、前のブログに書きました。これを知らないでいると、食生活もダイエットも誤解だらけ、思い込みと噂に踊らされているだけになっていますよ。
詳しく、お知りになりたい方、さらに、このような体の医学的仕組みを理解したうえでの健康的で適切に痩せるダイエット指導を直接に受けたい方のご質問やご連絡をお待ちしています。
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