GLP-1 はグルカゴン様ペプチド-1という名前の通り、グルカゴンと似た構造をしていますが、その働きは全く異なります。
グルカゴンの機能
グルカゴンは、主に膵臓のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を上昇させる働きがあります。主な作用は以下の通りです。
- 肝臓でのグリコーゲン分解促進: 肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解し、グルコースを血液中に放出することで血糖値を上昇させる。
- 糖新生促進: 肝臓でアミノ酸などからグルコースを新たに作り出す糖新生を促進することで血糖値を上昇させる。
- 脂肪分解促進: 脂肪細胞から脂肪酸を遊離させ、エネルギー源として利用できるようにすることで血糖値を上昇させます。
グルカゴンは、インスリンと拮抗的(反対の作用)に作用し、血糖値を一定に保つために重要な役割を担っています。
GLP-1とグルカゴンの働きは全く逆です。
- GLP-1は血糖値を下げる。
- グルカゴンは血糖値を上げる。
GLP-1は、インスリン分泌を促進したり、グルカゴン分泌を抑制したりすることで、血糖値を調節します。
まとめると、以下のようになります。
グルカゴンとGLP-1は、どちらも血糖値調節に関わるホルモンですが、分泌される場所と作用する主なターゲットが異なります。
グルカゴン
- 分泌: 膵臓のα細胞から分泌されます。
- 主な作用ターゲット: 肝臓です。
- 作用: 肝臓に働きかけて、グリコーゲン分解と糖新生を促進することで、血糖値を上昇させます。
- 肝臓以外にも、筋肉や脂肪組織にも作用し、血糖値上昇に関わります。
GLP-1
- 分泌: 小腸のL細胞から分泌されます。
- 主な作用ターゲット: 膵臓のβ細胞です。
- 作用: 膵臓のβ細胞に働きかけて、インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで、血糖値を低下させます。
- 膵臓以外にも、脳、胃、腸、肝臓など、様々な臓器に作用し、食欲抑制、心血管保護、神経保護など、多様な効果を発揮します。
さらに、オタクな質問ーGLP-1はグルカゴンと名前が似ていますが、働きは全く逆で、血糖値を下げるホルモンです。では、なぜ「グルカゴン様」と呼ばれるのでしょうか?
答えは、GLP-1がグルカゴンとアミノ酸配列の一部が似ているからです。
GLP-1は、1980年代に、ヒトの腸から発見されたホルモンで、構造を解析したところ、グルカゴンとアミノ酸配列の一部が似ていることがわかり、「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」と名付けられました。
アミノ酸配列の類似性
GLP-1とグルカゴンは、どちらも30個程度のアミノ酸からなるペプチドホルモンですが、両者のアミノ酸配列を比較すると、9個のアミノ酸が同じ位置に存在するというアミノ酸配列の類似性から、GLP-1はグルカゴンと構造的関連があると考えられています。
これは、ホルモンの名前と構造や機能が必ずしも一致しないことを示す良い例とのことです(顔は似ていても、心は他人?)。健康オタクか、医療系の方には興味ありましたか?
*図は岐阜県可児市(美濃加茂市の隣)の家庭医 梶の木内科医院さんのHPから https://www.kajinokinaika.com/post_column/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%A8%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3/(可愛くてわかりやすい素晴らしい図です)
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