HIFU(高密度焦点式超音波治療法)は有効か?安全か?

 シワとタルミの改善のために使用されるHIFU は水分を含む組織での伝播に優れるため、皮膚の真皮網状層の中層~下層の特別な深さに十分なエネルギーを与えます。高エネルギーの超音波を発生させ、これを高密度に集束させることにより、真皮組織や皮下組織を熱で凝固させ皮膚組織を収縮させる。真皮コラーゲン線維やエラスチン線維の新生、表在性筋膜群(superficial  musculoaponeurotic system:SMAS)の引き締めなどを行い、皮膚のタルミの改善(リフトアップ)やハリの改善(引き締め効果、タイトニング)などを期待します。

 本機器では副作用として、照射時~照射後に、一過性で非持続性の疼痛、発赤、浮腫、紫斑などが出現することがある。また、レーザーのように選択的に組織を破壊することができないため、解剖学的な知識がないと皮下の神経や血管、筋肉などを傷害し、それに対応した副作用を発症する恐れがある。

 HIFU は2009年に眉のリフトアップ(タルミ改善)の効能で米国 FDA(食品医薬品局)から認可されており、その後には顎下、頚部のリフトアップ、デコルテのシワ改善についても追加承認を受けている。国内ではHIFUの機器はすべて未承認です。以上より、合併症の危険性も低いことから、HIFU はシワ、タルミ改善のために行うことを選択肢のとして推奨できる。ただし、長期成績の効果の持続については不明です。

 結論として、有効性はあるものの、副作用として瘢痕形成、神経麻痺などの可能性があります。他のシワとタルミの改善のために使用される主なエネルギーデバイスであるフラクショナルレーザー療法(fractional laser skin resurfacing:FLSR)、高周波治療(radio frequency:RF、ラジオ波)などの比較も含め、医師とよく相談して治療を受けましょう。

*写真は以下のサイトから。https://skin-tec.net/wp-content/uploads/2018/08/FOTO-HIFU.jpg

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この記事を書いた人

代表紹介 今野良 
医師 (自治医科大学卒業)
医学博士 (東北大学)
Prof. Ryo Konno, MD, PhD
臨床医・研究者としてのキャリアと実績

所属・学会・研究員
自治医科大学総合医学第2講座(産婦人科)教授
日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本医学旅行学会
Asia-Oceania Research Organization in Genital Infection and Neoplasia (AOGIN アジアオセアニア生殖器感染および腫瘍研究機構、日本代表理事、2017年東京大会会長)
Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容・アンチエイジング医学会)
Wold Endometriosis Society (世界子宮内膜症学会)
NPO子宮頸がんを考える市民の会(理事長)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究班員
独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター(UNIBIOHN)客員研究員

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