私たちはエビデンスに基づいて、適切な情報とアドバイスを提供します(前半)

 健康食品やサプリメントは医薬品ではないため、病気の治療や予防を目的としたものではありません。頭の中ではわかっていらっしても、毎日のように繰り返されるテレビのCMやネット情報を見るたびに刷り込まれてしまった情報は信じてしまいがちです。例えば、コラーゲンの経口摂取(食べる、飲む)と美容効果の関係は、長年議論されてきたテーマですが、「コラーゲンを摂取すれば直接的に肌のシワやたるみが改善する」という医学的な根拠はないのが現状です。

 コラーゲンを経口摂取すると、体内で消化されてアミノ酸に分解されて吸収されます。分解されたアミノ酸は、体内で様々なタンパク質の合成に利用されますが、必ずしもコラーゲンとして肌に再合成されるとは限りません。つまり、コラーゲンを摂取しても、それが直接、肌(あるいはほかの部位)のコラーゲンになるわけではないのです。

 一部の研究では、より吸収されやすいコラーゲンペプチドの摂取によって、肌の水分量や弾力性が向上するという報告もありますが確かな根拠ではありません。大規模で質の高い信頼性のある研究では、コラーゲン摂取による美容効果は示されていません。今後、更なる研究によって、美容効果が明らかになるかもしれません。コラーゲンは、肌の健康に重要な成分であることは間違いありませんが、美容関連製品やサプリメントの広告に惑わされず科学的な根拠に基づいた情報を得ることが大切です。

 健康美容に限らず、商品やサービスの提供には、CM宣伝特定の情報への偏り誘導が存在します。また、インフルエンサーブロガーSNS等はもちろん、大手メデイア専門家といわれる方も特定の経済的支援を受けていたり、やらせ根拠不明の説明がなされていたりすることがあります。そういうものを完全に排除することはなかなか難しいことです。

 私たちがブログに記事として掲載する場合には、可能な限り出典引用元、公的なガイドライン・指針厚生労働省などの関連省庁・機関の通知、国内外のエビデンス信頼性の高い論文等を併せてお示しするように心がけています。ぜひ、詳しくお知りになりたい、さらに調べたいという方はそちらをご覧いただくことをおすすめいたします。

 COI (conflict of interest) といわれる利益相反を必要に応じて開示していきます。それは、これまでアカデミア(大学、学術機関)の公的な役職についていた立場からすると当たり前のことです。

 私たちの使命は、正しい情報をお届けして、相談をお受けし、健康で美しいライフスタイル一緒に構築することです。

*医薬基盤:健康・栄養研究所 健康食品の素材情報データベース https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/pdf/k007.pdf

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この記事を書いた人

代表紹介 今野良 
医師 (自治医科大学卒業)
医学博士 (東北大学)
Prof. Ryo Konno, MD, PhD
臨床医・研究者としてのキャリアと実績

所属・学会・研究員
自治医科大学総合医学第2講座(産婦人科)教授
日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本医学旅行学会
Asia-Oceania Research Organization in Genital Infection and Neoplasia (AOGIN アジアオセアニア生殖器感染および腫瘍研究機構、日本代表理事、2017年東京大会会長)
Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容・アンチエイジング医学会)
Wold Endometriosis Society (世界子宮内膜症学会)
NPO子宮頸がんを考える市民の会(理事長)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究班員
独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター(UNIBIOHN)客員研究員

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