健康、美容、美容医療、医療・医学、予防医療、ウェルビーイングのいずれも巷には膨大な情報があります。でも、気をつけてご覧ください。健康食品のCM、美容外科のSNS上での宣伝、エステのキャンペーン、偏っていませんか?情報が歪んでいませんか?本当に効果がありますか?
前回に引き続いて、健康と美の情報、健康食品、医療にける医薬品・医療機器についての解説をします。やや複雑な話ですが、非常に大切ですから、ぜひ、お読みください。
例えば、医学界における論文発表や学会発表の際には、その医師・研究者や研究課題に薬品会社や医療機器会社の資金提供があるかどうか、共同開発かどうか、研究費や講演料を受領しているかどうかを開示(利益相反の開示)をしています。スポンサーや資金提供が決して悪いわけではありません。むしろ、新薬開発に関する論文を発表している医師・研究者が実績のある製薬会社とコラボしていることこそ、その新薬候補の信頼感が高く、製品として実現可能性が高いことの目安になります。新薬・新製品の開発には研究者と製薬会社、さらには、国・官の共同(産官学共同)が欠かせません。関連があったかどうかを公開・可視化することによって、情報を受ける側(一般の方、国民、消費者等、メデイア)に適切に判断していただく根拠を提供することが目的です。例えば、医師個人が良いアイデアを持っていたとしても、それを一人で新薬開発までもっていくことは絶対に不可能です。特許の取得も「思いつき」だけでできるわけではなく、膨大な手数と費用が掛かります。
一般の医療で使用されるものには保険承認(通常は医療費の1/3を個人負担、残りを会社の保険組合や自治体が負担)が必要となります。動物(非臨床)試験で新薬候補の効果を確認し、臨床試験(第1,2,3相)を長期間、多人数で実施したうえで、効果が認められれば、国(実際にはPMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構という役所)の審査を経て承認されます。そのうえで、保険承認の可否が決定されます。つまり、保険診療とは、上記の開発、手続き、承認をすべて経た薬品や医療機器だけを対象に行われているのです。一方、自由診療(保険外診療)は保険未承認の薬品や医療機器を使用して、医師や医療機関の裁量で行われます。また、目的(適応)外使用という保険承認されていない目的のために使用することも行われています。その場合、多くの薬品や医療機器は医師や医療機関による個人輸入(代理業者を通しても)によって入手されています。患者・クライアント・お客様はその医師・医療機関と同意して、個人の責任でそれらの診療を受けていることになります。ブログでも紹介していますが、美容外科で使用される薬品や医療機器の多くが未承認のものです。未承認のものを使用することが悪いわけではありません。新薬や新しい機器が承認されるまでには時間がかかり、場合によっては承認されないこともあり、それは一般の方、国民、消費者等にとって、デメリットになることもあるからです。しかし、冒頭の研究者の情報開示と同様に医師・医療機関は、それらを開示し、お互いに納得・同意したうえで施術を行うべきです。
いかがですか?多くの方はご存じない事柄だと思いますが、自由診療とはこれらすべてを承知して個人の責任で受けていることになります。あなたは大丈夫ですか?
当オフィスは、国内外での論文発表・学会発表、新薬開発、非臨床試験、臨床試験、特許取得、保険診療、保険外診療のいずれにおいても豊富な経験を有しています。ぜひ、本当のプロフェショナルにご相談ください。
コメント