更年期障害は、女性ホルモン(特にエストロゲン)の減少によって引き起こされる、心身に様々な不調が現れる状態です。閉経の平均年齢は50-51歳ですが、その前後45-55歳頃におきます。
主な症状
- 自律神経症状: ほてり、発汗、動悸、めまい、不眠、など
- 精神神経症状: 気分の落ち込み、不安、イライラなど
- 身体症状: 関節痛、頭痛、肩こり、腰痛、疲労感など
メカニズム
- エストロゲンの減少: 加齢に伴い卵巣機能が低下し、エストロゲン分泌量が減少します。
- 自律神経の乱れ: エストロゲンは自律神経の調整にも関わっており、その減少は自律神経のバランスを崩し、ほてりや発汗、動悸、不眠などの症状を引き起こします。
- 血管運動神経症状: 体温調節機能の乱れにより、ほてり、発汗、冷えなどが起こります。
- 体温調節の乱れ: エストロゲンは脳の視床下部にある体温調節中枢に作用します。エストロゲンが減少すると、体温調節機能が不安定になり、わずかな体温の変化に過敏に反応し、暑い、寒いと感じます。
- その他: エストロゲンは、血管、骨、脳などにも影響を与えているため、その減少は、血管運動神経症状、骨粗鬆症、精神神経症状など、多岐にわたる症状を引き起こします。
関節への影響: エストロゲンは関節の軟骨や滑膜の健康維持にも関わっており、その減少は関節の炎症や変形を起こしやすくし、関節痛を引き起こします。
更年期と手指の関節痛
更年期には、エストロゲン減少の影響で、手指の関節痛が起こりやすくなります。
- ヘバーデン結節: 指の第一関節の変形性関節症
- ブシャール結節: 指の第二関節の変形性関節症
治療と対策
- 薬物療法: 症状に合わせて、漢方薬、抗うつ薬、抗不安薬などを処方
- 非薬物療法:
- 生活習慣の改善: バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス解消
- 関節痛の予防と改善:
- 適切な運動: ストレッチ、マッサージ、タオルギャザー、グー・パー運動、指回しなど
- 生活習慣の改善: バランスの取れた食事、適度な運動
- 温水での手浴: 血行促進効果。
- 手指を冷やさない
大切なこと
- 症状が気になる場合は、医療機関を受診しましょう。関節痛に関しては、関節リウマチの検査をして否定しておくことが大切です。
- 更年期障害は、適切な治療とセルフケアで、症状を改善し、快適な生活を送ることができます。
- 自分らしく、前向きに更年期を過ごしましょう。
- 関節痛は多くの場合、自然経過で直っていきます。五十肩や四十肩のように。
- クヨクヨせずに、適度な運動で乗り切りましょう。
このように、更年期障害は、エストロゲンの減少をきっかけに、自律神経系、血管系、そして脳など、様々な体のシステムに影響を及ぼし、多様な症状を引き起こす可能性があります。
更年期障害の治療で、最も即効的なのはエストロゲン補充療法です。ぜひ一度試してみてください。ただし、最初の奏功感と比べると次第に効かなくなってくるような気がします。更年期障害の治療には医療者又はカウンセラーによるメンタルケアが重要で、これを行うことによって薬物の効果のみでない、むしろ、薬物以上あるいは相乗作用が期待できます。更年期障害の症状で気になること、医療機関を受診しても症状が治らないこと、がある時は、ぜひ、私たちにご相談ください。新しい人生のスタートのお手伝いをします。