コレステロールは、ステロイド骨格と炭化水素側鎖を持つ両親媒性(親水性と疎水性の両方の特性を持つ)の分子である。体内で合成でき(つまり、必須栄養素ではない)、経口摂取されるコレステロール(食事性コレステロール)は体内合成されるコレステロールのおよそ1/3~1/7 でしかない(食事よりも体内で合成される量が多い)。また、コレステロールを多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、摂取量が少なくなるとコレステロール合成が増加するフィードバック機構が働く。このため、コレステロール摂取量と血中コレステロール値との間には関連はあるものの、体内で合成されるコレステロールは胆汁や細胞構成成分として複合的に利用され、排泄される量で調整も行われている。以前は、食事性コレステロールを多く摂取すると血液中のコレステロール値が上昇し、動脈硬化や心臓病のリスクが高まると考えられていたため、食事性コレステロールの摂取量を制限することが推奨されていました。しかし、近年の研究では、食事性コレステロールが血中コレステロール値に与える影響は大きくないことがわかってきました。2015年には、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」からコレステロールの摂取上限値を撤廃しています。例えば、「卵は1日1個まで」というのは、過去に言われていたことで、現在は否定されています。ただし、コレステロールは 過剰になると動脈硬化のリスクを高めることも事実です。バランスの取れた食生活が重要です。
コレステロールは細胞膜、ホルモン、胆汁酸、ビタミンDなど、 生命維持に不可欠な物質 の原料となるなど、重要な役割を担っています。
コレステロールは体内で合成されるため、食事から摂取しなくても生命活動は維持できます。しかし、全く摂取しないと、これらの重要な機能が十分に働かなくなる可能性があります。コレステロールの体内での意義は以下の通りです。
細胞膜の構成成分: すべての細胞膜はコレステロールを含んでおり両親媒性を持つので、細胞の形を保ったり、細胞内外への物質の出入りを調整したりするのに役立っています。
ホルモンの原料: コレステロールは、副腎皮質ホルモン、性ホルモン(男性ホルモン、女性ホルモン)など、様々なホルモンの原料となります。これらのホルモンは、体の成長、生殖機能、ストレスへの対応など、重要な働きを担っています。
胆汁酸の原料: 胆汁酸は、コレステロールから肝臓で作られ、脂肪の消化吸収を助ける働きをしています。
ビタミンDの原料: ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の健康を維持するために必要な栄養素ですが、コレステロールを原料として、皮膚で紫外線に当たることで合成されます。
*図は以下のサイトから https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch2-4/keyword10/
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