ヒアルロン酸の過剰注入(Facial Overfilled Syndrome FOS)にの予防と治療 ヒアルロニダーゼはあるが完全ではない。「盛りすぎ」注意

実は、ヒアルロン酸のFOSに対する治療として、ヒアルロニダーゼという薬剤(酵素)を注射する方法があります。ヒアルロン酸は「もともと生体にある物質だからいずれは溶けて無くなるはず」、あるいは、「せっかく入れたんだから勿体ない」など、ヒアルロニダーゼの使用をためらう方が多いようです。FOSあるいはヒアル顔を我慢していると、表情の不自然さは元より、日常生活に支障(目や口が開きにくいなど)をきたすこともありますし、数か月や数年を経た後に起きる遅発性合併症(慢性炎症反応)もあります。ヒアルロン酸は時間とともに消えて無くなるのではなく、小さくバラバラになるだけで局所に存在し続けることも分かってきました。ヒアルロニダーゼは必要と判断されるときの重要な選択肢です。今回の学会で、明快かつ理論的な解説をされたマレーシアのDr. Ting Song LimはFOSを提唱した先生の一人です。この有名な図も彼のもの。https://www.researchgate.net/profile/Ting-Song-Lim

ヒアルロン酸には、様々な種類があって半年から2年程度で目立たなくなるタイプから、もっと持続するタイプもあります。ヒアルロン酸の役目はそもそも、自分の顔の一部分を良い意味でaugumentation(強調)するためのもので、輪郭形成を目指す手術とは異なります。過剰な期待による満足度の追及には無理があります。サステナブルな若さとナチュラルルッキングを目指すなら、注入すべき時期(年齢)や部位、製剤などを総合的に、中長期的な視野を持ってプランニングすることが重要です。「盛りすぎ」はあなたが目指した自然な美しさとは違うこと(図を見てください。ソーセージ唇、アヒル唇、空飛ぶ皿顔、など怖い単語がいっぱい)、一部分ではなく、全体を見ることをお勧めします。いずれにしろ、上記を参考にして医師とよく相談して治療を受けてください。

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この記事を書いた人

代表紹介 今野良 
医師 (自治医科大学卒業)
医学博士 (東北大学)
Prof. Ryo Konno, MD, PhD
臨床医・研究者としてのキャリアと実績

所属・学会・研究員
自治医科大学総合医学第2講座(産婦人科)教授
日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本医学旅行学会
Asia-Oceania Research Organization in Genital Infection and Neoplasia (AOGIN アジアオセアニア生殖器感染および腫瘍研究機構、日本代表理事、2017年東京大会会長)
Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容・アンチエイジング医学会)
Wold Endometriosis Society (世界子宮内膜症学会)
NPO子宮頸がんを考える市民の会(理事長)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究班員
独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター(UNIBIOHN)客員研究員

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